「既存の枠」に毒された状態を理解する

ある帰国子女の学生がファーストフードチェーンでアルバイトをしていた時のことです。このチェーンは、従業員の接客やマナー研修が充実しており、接客を始めるときには必ず「大変お待たせいたしました。」の一言から始まり、注文を受けてからも提案を欠かさず、最後には「繰り返させていただきます」と確認することなどがマニュアルに細かく記載されています。

 

あるとき外国人が来店し、学生はいつも通り「大変お待たせいたしました」と日本語で接客を始めました。外国人は「I don't speak japanese」と言って、指で注文をしました。学生は、日本語で提案をし、外国人が手を広げて分からないジェスチャーをすると、我に返って英語で同じ説明をしました。しかし。最後には「繰り返させていただきます・・・」と日本語で説明をしていたようです。

 

慣れ、既成の枠というものは恐ろしいもので「考えずに行動」し始めると、思考が完全に止まり、他の行動もすべて「作業」になり、ゼロベースの思考が不可能になります。

 

マニュアルは重要ですが、思考停止陥る可能性もある危険なものです。

重要なのは、「マニュアルに書いてあることを作業として行うこと」ではなく、マニュアルの記述を「自分の言葉」で理解し、「自分の理解として行動していく」ためのあくまで参考資料と捉えることです。